瑠璃の海
はい
久しぶりに小池真理子さんのご本を手に取りましたです
『瑠璃の海』というタイトル
休憩時間の合間に読了
多大にネタバレを含む内容となっておりますゆえ…
よしなに…
小池さんが昔
直木賞を受賞された『恋』という作品を読んでから
本屋さんで見かけるたびにちょいちょい読むようになった
『恋』という作品にものすごく引き込まれて
胸苦しさを感じる場所を ぐぐっとわしづかみにされて
ゆっさゆっさと揺さぶられる感じにビックリして
もう一度あの時のような感覚を
別な作品でも味わいたいと思っていたのだけれども…
まだあの感じを再現させてくれるような作品には
出会えていない
『冬の伽藍』という作品を読んでいる時、
ある箇所に差し掛かった所で涙が猛烈に出て
止まらなくなり
当時のわたしが抱えていた恋愛に関する物思いが一気に取り払われて
まるで憑き物が落ちたかのように
清々しい気持ちになったことも
わたしの中の小池作品における強烈な思い出だったりする
この作品は数ある小池作品の中でも 珠玉の出来だと思われる
『恋』で感じた筆の勢いが ここにも感じられた
そんな感覚を再び味わえるかな?と思って手にした本作
しかし だ 残念なことに 今のわたしは このような恋愛モノには
全く興味がなかったのだ…
自分でもびっくりだ…
以前は 小池さんの描く大人の恋愛を読んで
「あぁ な~んか大人の世界だなぁ~ ぽわ~ん」とか思っていた
(若かりし頃…)
でも 今や 登場人物に少しも感情移入できない自分がいた…
そんな自分に だいぶガッカリ
だってね…
(以下ネタバレ)
主人公は最後の最後で心中するんですよ?
それはそれは美しい海に 最愛の男性と共に
身を投げるんですよ?
死んでしまえば何もかも終わり という言葉の元に
生きて紡ぐ時間を捨て去り
2人は死を選ぶんですよ?
そんなバカな!! なにゆえ?
しかも 2人は別に
借金取りにか何かに追い立てられてる訳でもなく
まして不倫関係などでもなく
普通に結婚しようと思えば出来て
普通に幸せに暮らせるような2人なんですよ?
なんで死ななあかんねん?
という思いがね… 終始わたしを取り巻いておりましてね
全くもって世界に入り込めんかったとです…
そして 多分 これ もっと短く出来たはず…
とか思ってしまうのは こちらの堪え性のなさの所為なの?
いずれにせよ
この主人公のお2人の行動を読みながら
「はぁ… さようか…」という
まるで他人事 いや 他人事ですらない気持ちで
ひたすら無感動で傍観していた自分に
ちょっとガクゼンとしてしまったのでした
なんだかもう パッサパサに冷めていた
この作品の男女のように
未来を紡ぐ力を持っていながら
2人だけの世界に耽溺し
その世界だけで完結していこうとする欲望は
この世界のどこかにもきっと存在しているのだろうけれど
そういったものは
少なくともわたしの中に探すことは出来なかったし
わたしの身近な人たちの中にも
おそらくは生まれ得ないものだろうな
と思った
わたしなら
命が自然に終わろうとする日まで
老いていく自分と相手を 愛したいと思う
そういう意味で「完全なる絵空事だなぁ」と思うのだった
さらに 先述の「筆の勢い」という点からしても
前二作品のようなものは感じられず
するする~っと読んでしまった
ただ そうは言っても
小池さんの描写力は素晴らしいなぁと思う
わたしとしては恋愛モノよりも
昔書いておられたミステリーのほうが
しっくりくるのかもしれないな
最近はもう恋愛モノばかりお書きになっておられるんだろうか?
また小池さんのミステリーが読んでみたい
雪の山小屋でのミザリーみたいなお話があったけど
(タイトル忘れちゃいました…)
めちゃくちゃ怖かったな…
今も 雪が降ると あの小説の情景を思い出すくらいに
読了するのに二時間もかからなかったのも珍しい
それだけするすると読み進めてしまえたってことだね
それはそれですごい