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Re:Re:みちくさ

ゆるくいきてます

ブラック・スワン

体は疲れきってるのに なにやら胸の奥の方が痛くて眠れない


ナタリー・ポートマンブラック・スワン

wowowでやってたの録画しといたのをようやく観た


あらゆるプレッシャーに押し潰されて

序々に狂っていくナタリー・ポートマン演じるニナが壮絶だった



バレエ『白鳥の湖』は わたしの好きな演目のうちの一つ

殊に 黒鳥の32回転グランフェッテ 大好きすぎる!!

ニーナ・アナニアシヴィリさまの神がかったグランフェッテを

ビデオで初めて観た大昔から 黒鳥の虜になってしまった

ピエトラガラさまのオディールも好きだったなぁ

あの時はデュポンがジークフリートを演じていた




黒鳥のグランフェッテ

こんなにクルクル回って、よく立ってられるなぁ~

すごすぎる


黒鳥のフェッテ集 - YouTube

 

 

もういっちょ!!


この日のブログを見ればいつでもグランフェッテ観れるっちゅうことやね!!

幸せすぎる





いつも思うんだけど

古典バレエのヒロインの相手役って

どうしてこうも揃いも揃ってバカな男ばっかりなんだろう??

一度たりともステキに見えたことがない

白鳥に出てくるジークフリート王子は

恋する娘オデットが魔法で白鳥に変えられてしまったのを見抜けずに

ニセモノのオディールをオデットだと勘違いして恋に落ちてしまう

昔っから

「この男・・ 、バカなんじゃないだろうか?
 明らかにオデットとオディール 違うだろーが?」

って思ってた

ジゼルのアルブレヒトに至っては

婚約者がいる貴族の身でありながら

自らの身分を偽って村の一青年を名乗り

可憐な村娘ジゼルの純情をたぶらかし

挙句の果てには ジゼルの目の前で婚約者にキスまでしちゃうという

噴飯モノ野郎である

それを目の当たりにしたジゼルは

混乱し 気が動転し ついには母親の腕の中で息絶える

古典バレエに出てくる男は まったくロクなもんじゃない

だからこそ ヒロインの輝きが際立つというのもあるんだけれど…

ジゼルなんか 騙されて死んだにも関わらず

死後もアルブレヒトのことを想っていて

「あなたをこんな目に遭わせた男なんか呪い殺しちゃえばいいのよ」

って囁く精霊たちが アルブレヒトの魂を捕らえて

死の世界へ連れて行こうとするんだけれど

死してなお 必死でそれを止めてるもんね

その健気な純粋さは もう呆気にとられちゃうレベル

泣けちゃうね ほんと

ジゼル・・・ 可哀想すぎる・・・

報われないのに・・・

純粋すぎるなぁ ほんとにもぉ






まぁ それはともかくとして

ブラック・スワンナタリー・ポートマン

オデットとオディールの二役を演じ分けなければならないのに

大丈夫なのかな?って思いながら観てた

彼女はオデットのイメージにはピッタリだから

白鳥の繊細なパ・ドゥ・ドゥは難なく観れたけれど

黒鳥の「どやあああああ」なグランフェッテとか

王子を誘惑するコーダの場面とか 演じきれるのかな?と

だけど 最後の最後で見せてくれた やってくれました

黒鳥のグランフェッテには鳥肌立ちまくりでした

素晴らしかった

思わずイスから立ち上がってぶらぼーって言っちゃったくらい

腕から本当に黒い羽毛が生えてる演出も それに拍車をかけてた

あの時 初めてニナは自分を解放できたんじゃないかな

誰の心の中にも絶対に存在するダークサイドを
光の前に引っ張り出せた瞬間 人は初めて完璧になれる気がしたんだ

誰もが自分の中にそんなものがあるなんて

認めたくないし 最後の最後まで絶対に認めたがらないだろう

誰だって自分だけは綺麗なままでいたいと望むだろうし

ダークサイドの存在なんて 許しがたいと思ってるはず

 

それを光の前にずりずりっと引きずり出して

「どやああああ これだってわたしの一部やああああああ」

って認めた瞬間に 闇もまた光に転じてゆくのではなかろうか



ニナはおそらくあの後 自分を抑圧していた自分から解放された瞬間に


あちらに旅立つことが出来て

きっと今まで生きてきたどの瞬間よりも

幸福を感じていたんじゃないかな





これを アンハッピーエンドと捉える人もいるかもしれないけれど

わたしの目には充分すぎるほどハッピーエンドに映った

あの最後の解放を際立たせるための抑圧だったんだろうなぁと思った

歪んだ自己からの解放以上の幸せって ちょっと他には思いつかないかも

自分を苦しめてきた全てから解き放たれた瞬間に死ねるだなんて

一番理想的な死に方な気がするんだけどなぁ

結局 自分を苦しめてるのはいつだって自分自身だもんね




お国柄が違うと シーンの切り取り方や表現の仕方も違って


「あれ? これってどこに繋がってるの?」

って思う所もいくつかあった

洋画の ことに こういったメンタル系の映画にそういうのが多い

見慣れてないと ちょっと辛いかも

どこからが幻想で どこからが現実なのかっていう

境目もよく分からなかったけれど

あれはあれでよかったなぁ


ニナにとっては幻想も現実も どちらも自分を追い詰めるものだったから

そこには境目などなかったりするのだろうし



やっぱり 人の心が一番奥深くて怖いなぁ・・・

おばけとかよりも 人間のほうが怖いね



あと 狂気はある種の安寧なのかもしれないなぁ・・・と思った

されど 願わくば あのようなものに囚われるこなく

スムーズに自己を解放していきたい

あまりにも代償が大きすぎて・・・





何にしても この映画はオディールのグランフェッテの素晴らしさに尽きる

白鳥のDVDを見直したくなった

でも ジークフリートがバカすぎて萎えるんだよぉ・・・

自分が愛した女の見分けすらつかないバカ男への純愛のために

死んでしまうオデットが可哀想すぎて・・・

そんな男に惚れちゃう女も また愚かなりけり・・・といった所なのかもしれんけども・・・

双方の愚かさゆえに こんなにも美しい芸術作品が生まれたのであるならば

愚かさはその愚かしさゆえに 美しいまでに罪深いものと言えるのかしら?とかね






あと この映画のウラテーマは

母親との心理的癒着  かな と

ニナがあんな風に本当の自己を解放出来なくなってしまったのは

普段は優しいけれど キレると怖い母親に怯えて育ったからなんじゃないかな

あの母親は 「愛する」ということを分かっていないと思う

娘をただ自分の思い通りに操作したいだけ

自分の言うことを聞く娘が好きなだけ

そういう親の元に育った子どもは不幸だ

親の庇護なしでは生きていけない子どもは

なんとかして親の愛情を得ようとするもので

その愛情は無償であるべきはずなのに

代償を求める親も時にはいて

「愛してあげる だから 私の思い通りになりなさい」

と 無言のプレッシャーに苛まれ続けてきたんじゃないかな

って思った

映画の中では語られていなかったけれど

あの母親の台詞や態度を観ていたら

ニナがどんな風に育てられてきたのかは推して知るべし…



追い詰められたニナが

幻覚と現実の区別もつかぬまま

結局自殺のようなカタチを取ってしまった後

あの母親がどうなったのかも知りたかったな

自分もニナを追い詰めていた側にいたことに気づくこともなく

ニナを追い詰めて殺したのはバレエ団だ!って言い張って

娘を殺された可哀想な母親という自分を演じ続けることで

自分を保っていくんだろうな

人の傷にどこまでも鈍感でいられる人間ならでは という感じ

でも あの母親にも そうならざるをえなかった理由があるはずで

それを考え出すと どんどん物語が紐解かれていく

一本の映画で ここまで考えることが出来るだなんて

やっぱりこの映画はすごい映画なんだなぁ





ポートマンがほんとにボディダブルなしでグランフェッテしてたのか気になって

今 調べてみた

やはりいらっしゃいましたか・・・

あのグランフェッテは 素人が一年半稽古したくらいじゃ

踊りこなせるものじゃないもんね・・・

あんなに易々と踊られちゃったら

何年もバレエをやっている方々は一夜にして自信喪失しちゃうよね・・・

ABTのプリマがボディダブルを演じた と報じられてた

なるほど納得

ABTの作品は 舞台装置からしてもなんとなく大味で

それほど好きなバレエ団ではないけれど

ドン・キホーテだけはABT版が好き

バリシニコフのドン・キホーテは バレエ好きならあまりにも有名だものね

バリシニコフや ジョルジュ・ドン パトリック・デュポン  ジル・ロマン

ミシェル・ガスカール  ショナ・ミルク  パトリス・トゥーロン etc.

そして伝説の振付家 モーリス・ベジャールらが現役だった頃を観れた人たちは

幸せだっただろうなぁ

わたしはビデオでしか知らないけれど

ベジャールさんが生きてる頃に 生で観てみたかったな

タイトル忘れちゃって もう一度観たいバレエがあるんだけど

あれは何だったっけ・・・

ガスカールさんが みんなに囲まれながら すごく楽しそうに踊ってた

音楽も軽快な感じで みんなが拍手しながら見守ってて

あれは何ていう演目だったんだろう?

バレエに興味を持ち始めた頃に どなたかからビデオを貸していただいたのを観て

それがあまりにも印象深くて忘れられない

 


曲は今でもハッキリ覚えてる

たしか「エロス・タナトス」っていう演目の中の一つだった気がするんだけど…


もう一度観たいなぁ あれ…


DVDになってないのかな

もう一度観れたら死んでもいい

ベジャールさんのバレエは、ほんとに独特だったなぁ

ジョルジュ・ドンや パトリック・デュポンボレロを生で観てみたかったなぁ 

パトリック・デュポンボレロを初めてビデオで観た時 息が止まるかと思った 

息をするのを忘れてた 

もう一度観れたらなぁ 

って 見つけたーーーーーっ!!!

ブラボー 今の時代!!! ブラボー YouTube!!!



キャーーーー!!

デュポンいろっぺーーーーっっ!!!

音楽を肉体で表現すると究極のエロスになるーーーーーっっ!!!

ボレロって 水から上がってきた女神が男を誘惑してるっていう設定で作られたんだよね 確か

デュポン むちむちしてて女性的だなぁwww

ショナさんが踊ってるのもあったけど 

実際 女性ダンサーが踊るとスタミナが持たなくて

最後ゼェゼェいってる感じで ちょっと辛いかも

スタミナありまくりのデュポンとかドンちゃんが踊るのが適している演目な気がする

男性を誘惑するダンスだから 女性が踊ったほうが官能的なんだろうけど

あと 惜しむらくは リズム群舞がベジャール・バレエ団の方々ではないことかなぁ



話がどんどんそれていくのはお家芸ですw

バレエとタップの話になると ついつい夢中になってしまうよね うん 

好きなものがあるって幸せだなぁ (そういうオチかよ)





つまるところ 

素人がたかだか一年半稽古した所で 

あのグランフェッテは踊れないっていうことだね 

あーあ 

ナタリー・ポートマン、まじ天才!!って思ったんだけどなぁ 

でも ボディダブルだったとしても 

黒鳥の鬼気迫る演技はナタリーのものだから 

それはオスカーをいただくに相応しかったと思う 

賞賛に値します  ほんとに 

ブラヴァー!!!

ブラック・スワンを観れたことで

バレエ動画漁りまくって 今夜の具合悪さを乗り切れました  ブラボーわたし!!